FX(外国為替証拠金取引)における含み損とは、「まだ確定していない損失」のことを指します。現在の為替レートでポジションを決済すると損失が出る状態ですが、決済しない限り実際の損失にはなりません。逆に「含み益」は、決済すると利益が出る状態のことを指します。
例えば、以下のような状況を考えましょう。
例:ドル円の場合
- 1ドル=150円のときに、1万通貨(=1万ドル)を買う(ロング)
- しかし、相場が145円まで下落した
- 1万ドル × (150円 – 145円) = 5万円の含み損
この時点では決済していないため、損失は「確定」していません。しかし、このまま相場がさらに下がれば損失が拡大し、証拠金維持率が低下すると強制ロスカット(強制決済)される可能性があります。
含み損シミュレーションの重要性
FXでは、「どのくらいの含み損に耐えられるのか」を事前にシミュレーションしておくことが重要です。実際に取引を始める前に、以下の点をチェックしましょう。
1. 証拠金に対する許容範囲を計算する
例えば、レバレッジ25倍で取引する場合、証拠金が10万円であれば、最大で250万円分の取引ができます。しかし、価格が1%下がるだけで、含み損は2.5万円になるため、余裕がないとすぐにロスカットされます。
2. 想定される最大ドローダウンを試算する
過去の相場データを見て、「この通貨ペアはどれくらいの変動があるのか?」を確認します。たとえば、過去に1カ月で5円の値動きがあった場合、自分が耐えられる含み損を計算しておく必要があります。
3. 証拠金維持率を意識する
証拠金維持率(=証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100%)が100%を下回ると、追証や強制決済のリスクがあります。余裕を持って200%以上を維持するのが理想的です。
シミュレーション例(レバレッジ別比較)
FXではレバレッジを高くすると少ない資金で大きな取引ができますが、その分リスクも大きくなります。以下に、レバレッジ25倍と1000倍のケースでの含み損シミュレーションを比較します。
シナリオ1:レバレッジ25倍(1Lot = 1万通貨)
- 証拠金:10万円
- 取引量:1万通貨(USD/JPYを150円でロング)
- 必要証拠金:150円 × 1万通貨 ÷ 25 = 6万円
- 1円の変動で1万円の損失
相場 | 含み損 | 証拠金維持率 |
---|---|---|
150円 | 0円 | 200% |
148円 | -2万円 | 166% |
145円 | -5万円 | 100%(危険) |
143円 | -7万円 | 50%(ロスカットの可能性大) |
➡ レバレッジ25倍では、145円付近でロスカットの危険が高まる。
シナリオ2:レバレッジ1000倍(1Lot = 1万通貨)
- 証拠金:10万円
- 取引量:1万通貨(USD/JPYを150円でロング)
- 必要証拠金:150円 × 1万通貨 ÷ 1000 = 1,500円
- 1銭(0.01円)の変動で100円の損失
- 1円の変動で1万円の損失(同じ取引量の場合、損益の変動はレバレッジとは無関係)
相場 | 含み損 | 証拠金維持率 |
---|---|---|
150円 | 0円 | 6666% |
149円 | -1万円 | 5666% |
145円 | -5万円 | 1666% |
140円 | -10万円 | ロスカット(証拠金ゼロ) |
➡ レバレッジ1000倍では、必要証拠金が小さいため、少ない資金で大きな取引が可能。ただし、価格が急変すると一瞬でロスカットの危険がある。
レバレッジ25倍 vs. 1000倍の違い
項目 | レバレッジ25倍 | レバレッジ1000倍 |
---|---|---|
必要証拠金 | 6万円 | 1,500円 |
1円の変動による損益 | 1万円 | 1万円 |
証拠金維持率の変化 | 比較的緩やか | 急変 |
ロスカットリスク | あるが耐えやすい | 一瞬でゼロになる可能性大 |
まとめ
✅ レバレッジが高いほど、少ない証拠金で大きな取引ができる
✅ しかし、証拠金維持率が急激に変動しやすく、ロスカットの危険が高まる
✅ 初心者は低レバレッジ(25倍以下)で、リスク管理を徹底するのが安全
高レバレッジの魅力に引かれがちですが、少しの値動きで即ロスカットされるリスクがあるので、十分なシミュレーションをしてから取引することが大切です!
高レバレッジの魅力に引かれがちですが、少しの値動きで即ロスカットされるリスクがあるので、十分なシミュレーションをしてから取引することが大切です!事前の準備とリスク管理を徹底すれば、無理なくFXを続けることができます!